気づきの心理学
「できない」ということと「しない」ということの違い
2008年・子年のスタートです。十二支のトップバッター、また平成の時代も20年目の成人式。例年にも増して「区切り」や「節目」の年を実感しておられる方も多いのではないでしょうか。

さて、人間は誰でも「現在の自分より成長したい」「自分を高めたい」という欲求を持っています。けれども今の自分からさらにステップアップするには、非常なパワーを必要とするものなのです。そこで往々にして、現状にとどまってしまうということになりがちです。しかし「面倒臭い」「できそうもない」と自分自身を見切ってしまい、その場にとどまることは、自分の中に眠っている素晴らしい能力に気づかないまま人生を送る結果にもつながるのです。

「できない」ことと「しない」こととの間には大きな違いがあります。心理学においてこの二つの言葉の違いを重要だと考えるのは、それがまさに「いかによりよく生きるか」を決定するからです。
私たちは人生におけるさまざまな事柄を、自分自身で選択して生きています。にもかかわらず、ときとしてそれを他人のせいにしたり、自分自身の責任であることを認めようとしなかったりします。状況が悪い、環境が悪い、社会が悪い…こうした言葉は責任転嫁には、実に都合が良いのです。しかし、それが本当にできないことなのか、単にしないだけなのかは、多くの場合曖昧(あいまい)になっています。もっといえば、曖昧なままに「できないこと」 と思い込み、決めてしまっているのです。

ゲームでわかる「できない」ではなく「しない」ということ
ではここで一つ、AさんとBさんによる会話ゲームを紹介しましょう。
A「何かできないことがありますか?」
B「私は朝早く起きることができないんです」
A「できないんですか?それとも朝早く起きることをしないのでしょうか?」
B「できないんです」
A「どうしてでしょうか?」
B「夜、遅くまで起きているからですね」
A「遅くまで何をやっていらっしゃるんですか?」
B「仕事から帰りまして、なんだかんだとやりまして、その後ぼんやりテレビを観たり本を読んだりして過ごしています」
A「ということは、早く寝るのはもったいないというか、仕事で疲れて帰ってきたのだから、のんびりした時間を持ちたいというわけですね。さて、そうした時間を持つことは誰が選んでいるのでしょうか?」
B「私ですね」
A「早く寝ることをしない。その結果として朝早く起きないのは、できないからですか?しないからですか?」
B「朝早く起きることをしないんですね」

いかがですか? 「できない」ことは「しない」ことに変わりました。このように、実は「しない」ことを「できない」という言葉で片付けてしまっている場面は、生活の中で非常に多いのです。
できないということは能力が及ばないということですが、しないというのは、自分自身でそれ(しないこと)を選んでいるということです。そこに気づくことは、とても大きな意味があります。

たとえば、私たちは他人に対して「あなたはテニスができます(can)か?」といういい方はしないで「テニスをします(do)か?」と尋ねます。しかし、自分のこととなると「できない」という言葉を多く使います。 「できないことの95%はしないことだ」という先人の教えがあります。それだけでなく「できない」「ダメだ」「仕方がない」などの言葉を頻繁に使っていると “できない症候群”にみまわれ、本当に自分の能力を発揮できなくなってしまいます。「できない」と「しない」の見極めは大切です。

今年は「勇気は自信に先行する」を実践して行きたいものです。


ストレス指数
出来事 指数 出来事 指数
1 配偶者の死亡 83 21 配置転換 54
2 会社の倒産 74 22 同僚との人間関係 53
3 親族の死亡 73 23 法律的トラブル 52
4 離婚 72 24 300万円以下の借金 51
5 夫婦の別居 67 25 上司とのトラブル 51
6 会社を変わる 64 26 抜てきに伴う配置転換 51
7 自分の病気やけが 62 27 息子や娘が家を離れる 50
8 多忙による心身の過労 62 28 結婚 50
9 300万円以上の借金 61 29 性的問題・障害 49
10 仕事上のミス 61 30 夫婦げんか 48
11 転職 61 31 家族が増える 47
12 単身赴任 60 32 睡眠習慣の大きな変化 47
13 左遷(させん) 60 33 同僚とのトラブル 47
14 家族の健康や行動の大きな変化 59 34 引越し 47
15 会社の立て直し 59 35 住宅ローン 47
16 友人の死亡 59 36 子どもの受験勉強 46
17 会社が吸収合併される 59 37 妊娠 44
18 収入の減少 58 38 顧客との人間関係 44
19 人事異動 58 39 仕事のペースが落ちる 44
20 労働条件の大きな変化 55 40 定年退職 44

1年間に体験した生活上の変化の合計が150点以下なら、翌年に深刻な健康障害の起きる確率は30数%、150〜300点なら53%、300点以上なら80%以上である。
大阪府立公衆衛生研究所での調査結果(対象:1600人の会社員)
【ワシントン医科大学ホームズ博士らによるストレス調査を参考に作成】



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