「生活のヒント〜気づきの心理学」が小冊子になりました。 2008年4月以来(94回)、毎月欠かさず掲載してまいりました。
心理カウンセリング歴40年、竹内令優のカウンセリング・マインドでもあります。
来談者の方々から是非、小冊子を制作して欲しいとのご要望もあり、このたび今月のことば「ことばグセが自分の人生を決定し、幸せを創る」を集大成した小冊子を発行致しました。
現在、面接中の方に活用して頂き日常生活の良き指針として好評を得ております。 (著者:竹内令優)
 8月のことば 「人は誰しも一冊のいくら読んでも読みつくせない『物語の本』である」
西洋の教えです。かつて、私は自分の知識を切り売りするようなカウンセリングをして、ヘトヘトになっていました。知らず知らずのうちに自分の考えを相手に押しつけて、理詰めで説得していたのです。まるで「言葉の格闘技」でした。すなわち、カウンセラーの私が何とかして問題解決を促さねばならないと力みが強かったのです。しかし、転機になったのは米国の研修でした。そこで、学んだことは「来談者が必要としている問題解決の資源は、その来談者自身の生育歴『物語の本』の範囲内にある」ということでした。その学びから、「言葉の合気道」とも言えるクライエントに合わせ、抵抗を誘発する言葉の言い回しを意識して気をつけ、クライエントの問題解決能力を活用することで、ストレスも少なくなりました。また、私が余裕を持つとクライエントも余裕が出来、笑いの絶えない柔軟なカウンセリングができるようになっていきました。

 7月のことば 「ホンネはしばしばつぶやきや、ぼやき、捨てゼリフの中にあり」
リーダーはメンバーがさりげなくつぶやくことばに注意をし、その片言や文句からメンバーの心を読み取れるようになったらたいしたものです。言語心理学者は、人間はことばで二種類に分けることができると言っています。エリートなど、権限権力を持っている人が好んで使うことばに「正しい、良い、当然、……すべきである」。これに対し、凡人、庶民は「面白い、好き、楽しい、……したい」とよく言います。そして前者はタテマエで、後者がホンネだと解釈します。まことに味わうべきとらえ方です。たとえば、職場の小集団活動に対して、エリートであるリーダーは、「この活動はとても重要で、正しいことであるから当然やるべきである」。一方、メンバーが「そうはいっても、面白くないし、楽しくない、やりたくない」というようだと、よほどよく考え直さないと経過とともに非生産性が拡大します。リーダーはエリートであるほど現場の声に耳を傾けて調整力を発揮してほしいものです。

 6月のことば 「竹のようにしなやかに、雑草のように打たれ強く生きぬく」
私の信条です。大脳生理医学者、京都大学の元総長平澤先生は「過保護に育てられた飼いねこの脳の発達は貧弱なのに、野良ねこの脳の発達は立派である」といっておられました。子どもの脳の発達でも、同じことがいえるのです。運動機能の発達で、右手でハサミが使えても左手はまるでだめで、使わない機能は発達しないのです。同じように、自立性の心の機能も、自立心を働かせる環境を与えずに、過保護に育ててしまうと、発達しなくなります。「過保護はゆるやかなる虐待」といわれるゆえんです。私は20代の頃、自分の強み、弱みに向き合う心理学「交流分析」に出合ったことは幸いでした。「自分を知り、他人を理解すれば、百戦して危うからず」なのです。また、大自然に囲まれた天草の地でたくましく育ったことは、人間社会よりはるか上位にある自然、「常に天地自然の道に沿った生き方を心がける」ことで終生、私の強みになりました。

 5月のことば 「自信は成功の第一歩であり、自信は自己表現で培われる」
人の前で話をし、発表することは、何よりも自信をつける絶好のチャンスであるとして、デール・カーネギーは話し方教室で強調し、生徒を励まして壇上に立たせたのです。この生徒の中から全米一、すなわち世界一の生保セールスマン、フランク・ベトガーらが輩出されました。かつて、米国の研究所で感動したことは、質問に対して即、体験学習の実践解答でした。講義(レクチャー)は二割、体験六割、分かち合い(シェアー)が二割という「気づき」の連続でした。この経験から、私は心理セミナーや職場の小集団活動と結び付けて「体験式心理プログラム」を考案しました。教育といえば、しかめっ面をして、いやいやながらお義理で参加するものと思い込んでいた人が、グループで課題について遅くまで話し込み、研究成果を発表して自主的にやりぬき、すっかり自信をつけていったのです。実に喜ばれ、感謝されました。「百見は一体験にしかず」ということなのです。

 4月のことば 「黄金律(ゴールデン・ルール)、幸せを呼ぶ人間関係の秘訣」
一方、「自分にして欲しくないことは、他人にするな」という銀律(シルバー・ルール)は規則、法律のもとになる考え方です。二十歳の頃に学んだ「セールスの極意『黄金律』」は、終生にわたり人間関係を豊かなものにしてくれました。「自分がして欲しいことを他人にしてあげなさい」という黄金律は、思いやり・共感性とともに人間関係、宗教の基本でもあります。商売において「お客の気持ちになれ!」とよく言われます。すなわち、客観的とは、「客の立場で観る」ということなのです。店・商品・サービス・マナーをチェクして、自分が買いたくなる商品の仕入れや陳列の工夫。限りなくお客の心に近づけるのがセールスの極意なのです。同様に「共感性・思いやり・相手の身になって考える」はカウンセリング心理学の核心です。四月からの新入社員の方には、黄金律(ゴールデン・ルール)・銀律(シルバー・ルール)、二つの心構えを実践して欲しいと思います。

 3月のことば 「話すことは、こだわりを『離す』ことに通じる」
この「心理法則」について、米国のホーソン工場における典型的な実験例があります。その工場では社員の率直な意見や日頃の思い・不平不満について、産業心理学者による面談方式で、一人ひとり個別にじっくり話を聴く機会が設けられました。その際社員食堂のことで、ある中年女性が日頃の不満を綿々と述べたといいます。食事はまずく、汚く、雰囲気が悪い、サービスが悪い等々。面接者はただただうなずいて、しっかりと相手の言い分を聞くだけでした。数日後、面接者がこの女性と廊下でばったりと会いました。すると彼女はニコニコしてこう言ったそうです。「先日は有り難うございました。おかげで食堂はすっかり良くなりました。感謝しています」。不審に思った面接官が、食堂の担当者に尋ねてみます。しかし、これまでと変えた所は何一つとしてなかったのです。「自分のことを人に言う」ということは、たとえるなら便秘が解消されることです。話すことで「通じが良くなる」ということなのです。

 2月のことば 「問題解決は現場にあり、三同効果の高い合宿研修」
三同効果とは、「同じ屋根の下で一緒に寝泊まりして」「同じ釜の飯を食い」「同じことについて真剣に話し合う」と意思統一・団結・チームワークの向上というのが如実にあらわれるということです。私は20代の頃、守部昭夫師匠の合宿研修のお手伝いをしながら「現場」の重要さということを徹底的に学びました。実際やってみると、現場の問題というのは幾重にも重なり合って、相互に密接に関連しており、あちら立てれば、こちらが立たずという矛盾に満ちていることがよく分かってきました。そして、そのすべての奥に人間同志の深い利害関係がからんでいることも分かりました。ことばや本で教わったことは、いかに論理的、説得的であり、体系的であっても、事実に照らして吟味しなくてはならないのだということを、しみじみと教えられたのです。このことから、家庭・学校・職場においても現場的発想、これが後に産業カウンセラーとして、私の原点になっています。

 2017年1月のことば 「経済の集中的表現が政治であり、政治の集中的表現は軍事である」
軍事的にものを見ることは、経済も政治も大局的にとらえることができるとの教えがあります。日本は、軍事的なとらえ方、戦略的とらえ方の次元が低く、それが大きな問題となっているようです。第45代米トランプ大統領の誕生は日本にとって、“経済・政治・軍事”を見直すチャンスだと思います。一方、家庭・学校・職場をシステムと捉える家族療法は、戦略的コミュニケーションを重視します。特に問題を抱えた思春期の子どものいる家族では、第一に、新たな両親の協力関係、両親連合を構築することで大局的な方向性(戦略)を明確にします。第二は、子ども自身がどうしたいのか、どうなりたいのか、肯定的側面を引出します。第三に、子どもに寄り添いながら親と一緒に目標達成の手段 (戦術)を模索します。その結果、子どもは安心して目標に邁進できます。私はこれからも“戦略は大胆に、戦術は柔軟に”を心がける産業カウンセラーであり続けたいと思います。

 12月のことば 「人間関係の達人とは、固定観念にとらわれず自由に視点を変えて様々な立場で考える人だ」
『朝やけ小やけだ 大漁だ 大ばいわしの 大漁だ。 浜は祭りの ようだけど 海のなかでは 何万の いわしのとむら(弔)い するだろう(大漁pp16〜17:金子みすず童謡集)』。かつて、この詩の出会いは、カウンセリング心理学の神髄に触れたような眼からウロコが落ちる思いでした。私たちは心と身体の健康を守るためにも、固定した視点だけから自分を見ることをやめなければいけません。自分の短所だけを見つめている人は、長所を探すことが大切です。また、家庭・学校・職場のこじれた人間関係の相談が多くあります。相談者に困っている人との相関関係をノートに図解し、相手の立場で思いつく限りのセリフを書いて頂きます。その結果、全体像の把握と問題が明確化されます。「図解・分解は、分ければ解る」、より良い人間関係の改善に効果的な心理技法です。

 11月のことば 「思春期は親離れ、子離れの時期。親が育てば、子どもが育つ」
40数年、心理学的援助で実感することです。私が親御さんに心理面接で心がけている3つのキーワードがあります。ひとつは、声を荒らげないこと。親が声を荒げると、多くの場合子どもも荒げます。穏やかな表情でゆっくり話すことは、子どもと向き合う出発点なのです。ふたつ目は、肯定的で具体的かつ簡潔にメッセージを伝える方法です。「お客さんが来たら、挨拶をして、その後は自分の部屋で好きなことをしてもいいよ」など。3つ目は、「今日は親子で色々言いあったけど、お母さんはあなたの本当の気持ちが聞けてとても嬉しかったわ」と必ず肯定的な言葉で終わることです。そうすることで子どもの自尊感情を高め、親子の絆を確かめることにつながっていきます。すべては、母親ノート(日常の親子の会話記録)を基に具体的な心理面接で親御さんのコミュニケーション能力が向上していきます。

 10月のことば 「“未練を残しつつ、さわやかに別るること”が次のステージの飛躍につながる」
ついに巨人軍・鈴木尚宏選手(走塁のスペシャリスト)が引退を宣言しました。やはり現役の選手でありたいという未練を残しつつ、さわやかに球場を後にしたことだと思います。ストイックな選手として応援してきた私にとっては淋しい限りです。「別れ」には三つの種類があります。一つめは小さな別れ。欧米なら「また会いましょう」。日本でいえば「じゃあ、またね」というものです。二つめは就職、転職、引っ越しなどにともなう中くらいの別れです。それまでの環境や状況、人間関係と別れ、新しい環境のなかで自立してやっていく、そんなニュアンスです。三つめは大きな別れ。欧米の「さようなら。神があなたと共にいるように」。つまり、永い別れとか死による別れです。知人のお父さんは「さらば!」と言って息を引き取られたそうです。私も“この世に未練を残しつつ、さわやかに別るる”。その日まで充実した日々を過ごしたいと思います。

 9月のことば 「人は個体のヒトとして生まれ、その人を取り巻く関係性で悩み・病む。そして、人間として成長する」
40年間で強く実感する事は、人が人生の中で「悩む・病む」、ターニングポイントは思春期だと言うことです。思春期は大人への移行期で期間は10年以上あり、三つのハードルがあります。第一のハードルは自我にめざめる、小学五年生。この頃に悩むことができる子は、人間的に感受性が強い早熟な子だと言えます。第二のハードルは、中学二年。ここで過半数が足並みをそろえます。そして第三のハードル。高二で最終のグループがここを通過していきます。ところがまれに、思春期の門をくぐらない人がいます。悲しいことに、学力が高い、成績が優れているという場合によく見られます。学力さえ高ければ自己を問われることも、問う必要もないのかも知れません。さらに大学生になっても、まだ自我にめざめないという悲劇がおこるのです。「悩む・病む」ということは、ヒトが人間になっていく過程で必ずおこることなのです。

 8月のことば 「心・技・体、成功イメージの繰り返しのインプットで勝利する」
愛知県のライフル射撃協会の方々にメンタルトレーニングを実施したことがあります。国体選手レベルの人達で、きわめて強い集中力と精神面のコントロールが大切だということでした。私がとった心理技法はそれまでの射撃体験のなかで、失敗したときのことには一切触れず、的をうまく射抜いた成功例のみを2人一組になってそのときの鮮明なイメージ、感触を語り合う、誘導イメージ法の習得でした。成功イメージを定着するまで、繰り返し、繰り返し反復するのです。同時に重心の気づきを促進する筋弛緩法も指導しました。その結果、大会ではそれまでなかったほどの素晴らしい成績をあげられたとの報告でした。重心体得と成功イメージ法が功を奏したのでしょう。心・技・体の心に重きを置く、メンタルトレーニング法は4年後の東京オリンピックに向けて一層の研究と応用が期待されます。

 7月のことば 「心理的なトラブルを抱えた人の大多数は、体が硬くなっている」
資金繰りで苦慮していたある経営者は、自殺するのではと心配された奥様に連れられて来談されました。うつ状態の経営者は家で「ため息をつき、息苦しく」していたのです。心理カウンセラーとして私は二つの対処法をとりました。一つ目は、包み隠さず心が楽になるまで徹底的に聴き役にまわりました。「話すは放す(解放)」という心理法則です。二つめは信頼関係を構築した後、心の悩みや不安といった精神的マイナス要因が、「体の緊張」という形で体の表面に現れているかを実感した後、体ほぐしを奥様と同席のもとで実施しました。すると呼吸がとても楽になっていったのです。奥様は協力的で家でも体ほぐしを実施されたのです。特に頭をもみほぐすことで睡眠がぐっすりとれるようになっていきました。やがて気力充実で行動的になり苦境を乗り越えられたのです。「体をほぐし、深い呼吸はしなやかな心を生む」のです。

 6月のことば 「組織の核となるリーダーは、人間味豊かな聴き上手であること」
40年以上、人様の前で話をするのが職業になって、改めてよく解ったことは、 人は他人の話を聴くより、自分が話したい動物だと言うことです。中には他人の長話を聴くのは拷問の一種だなどと、ひどいことを言う人さえあります。この心理法則から合宿研修では、第一日目にミーティングの時間を長くとります。 結局、夜遅く長時間話し込んでいるグループが多くあります。それほど人々は話したいことが山ほどあり、話せば話すほどストレスが解消し、気持ちがよくなり、楽しくなるのです。これは話す喜びとは聴いてもらう喜びであることをよく示しています。その中でも人間味豊かなリーダーはみんなの意見、発言をじっくり聴き、出てくるアイデアをほめたたえ、感心することが、チームの求心力となり、団結力となっていくプロセスは講師冥利に尽きます。リーダーの第一条件は傾聴にありと言うことなのです。

 5月のことば 「人生はまさかの坂あり。竹のようにしなやかに、体力・気力・智力の充実」
今、熊本は地震災害で大変な状況に同県人として心を痛めています。私は農家の出身で天草は台風銀座ともいわれ災害は幾度となく経験しました。かつて、人災とも思われる経験もしました。農地改革で土地を取られ、最下流地に田畑があり、干ばつ期には上流で水路を止められた時は、夜中に何度となく水の解放に行った記憶があります。また、水害でお米がとれない時、災害給付金の審査では、役所と癒着した担当者からの理不尽さに、幼いながら怒りを覚えたものです。田舎なりのパワーゲームを目の当たりにしたことは、強い人間への決意でした。 柔道、空手など武道を通じ徹底的に鍛えることで体力、気力養成。また、智力(対人交渉力)では、年長者や志の高い人との付き合いをあえて好みました。父の言葉 "打たれ強く生きなさい"も心の支えになっています。

 4月のことば 「コミュニケーションを阻害するもの:言わないと、わからない。聞かないと、わからない」
私は、これまで新入社員研修を多く引き受けてきました。「組織を裏返すとコミュニケーションとなり、組織の活性化とは、コミュニケーションの活性化です」と研修の冒頭に伝えます。研修目的は自己表現(アサーション)と相手の身になって聴くことなのです。人間の心がタテマエとホンネの二重構造になっていると心理学では考えます。二人の人が話し合い、やがてホンネで話し合うようになるまで三つの段階があります。タテマエとタテマエ、タテマエとホンネ。そして、ホンネとホンネです。いくつかのテーマごとに体験学習します。その後、新入社員は居場所を見つけ自分のやるべき仕事に専念できるようになっていきます。上司は「自らが温かく、熱心に聞く姿勢を示してから、はじめて心の扉を開きはじめるものですね」と気づかれます。コミュニケーションの活性化とは、要するにじっくりと話し込むことなのです。

 3月のことば 「人は言葉を言った途端に忘れるが、言われた人は何十年も覚えている                          『言葉には、消しゴムが利かない』」
元日本ペンクラブの会長であった芹沢先生の言葉です。数十年ぶりに遊びに寄られた親御さんが「その節はご指導有り難うございました『愛情深いご両親の元きっとうまくいきますよ』の言葉にとても勇気づけられました。今では娘は結婚して二児の母になりました」。また、ある方は「『幹部の方が自分のことをどう思うかではなく、これから自分がどうしたいかに徹しなさい。不安な気持ちを力にして下さい。Hさんだったらきっと良い社長になれますよ』。十数年経っても励みになっています」など。私は何を言ったのか、失念することも多々あります。カウンセリング場面では、慎重に言葉を発しているつもりでも、人それぞれ特有の解釈をされるので、知らないうちに傷つけているのではと反省することもあります。「言葉は言霊(ことだま)なり」を再認識したいと思います。

 2月のことば 「人を自死から救う最善の道は、心と心の絆がしっかりと結ばれることだ
                          (デュルケム:フランスの社会学者)」
一方、犯罪防止も同質だと思います。かつて、拘置所の所長をしていた空手の師範から「犯罪を繰り返す人とそうでない人の違いは?」と問われたことがあります。「初犯で済む人は、『罪を償って早く帰って来ておくれ、お前は大切な子だからね』と責めることなく頻繁に会いに来る絆の強い家族の場合ですよ」。47年経った今でも心に強く残っています。「犯罪を思いとどまる心のブレーキは?」父母のこと45.1%、兄弟(妻子)を含めた家族全体のこと23.2%(平成23年犯罪白書)、家族の大切さを物語っています。近年、少年一般刑法の検挙数は減少傾向にありますが再犯率が高くなっています。その要因は家庭崩壊による家族のサポートの欠如だと思われます。コミュニケーション心理学の立場から家族面接では、ご両親に信頼関係の築き方として「観察上手・聴き上手」をテーマに一緒に取り組んでいます。

 2016年 1月のことば 「しなやかな心を取り戻す最善の方法は、執着心を手放すことだ」
ある学生は就活の結果が出なく、内定が決まらないことを「圧迫面接をする面接官が悪い」「自分はダメな人間だ」など、悶々としていました。私は次のような話をしました。『農作物を荒らすサルを捕獲する、ユニークな方法がボルネオ島にあるそうです。空になったココナッツの殻に、サルの手がギリギリに入る穴の中に餌を入れ、固定します。やがて、手を入れたサルが餌を掴むと手が抜けなくなり、餌に執着しているうちに捕まってしまうのです』「切り替えなければと頭では分かっているんですが…」。そこで、頭に張り付いているネガティブな考えを「小川を流れる枯葉の上に次々と載せる」イメージを"手放せた"と実感するまで実施したのです。その後、イメージ面接法も行いました。心理メソッド"手放すイメージ法"は様々な分野に応用ができます。"人は想像した通りの人間になる"。人の智恵はサル知恵に優るのです。

 12月のことば 「組織の活性化を高めるには、質の高いコミュニケーションの活性化を促進することだ」
ある企業の合宿研修を実施した時の実感です。参加者の今いちばんの関心をテーマにとり上げることで話が弾みました。「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という孫子の教えを取り入れる、戦略合宿となります。市場(ユーザーのニーズ)の変化、ライバルの変化をよく研究して自分たちのあり方を反省し、今後の方向を見出してゆくという話し合いです。やってみるとよく分かりますが、知っているつもりで、あまりにも不十分だったと反省し、夢中になって話し込みますので、時のたつのを忘れ、しばしば深夜に及びました。私のねらいは、自主性を尊重することで、相互理解が進み、共感に至ることにより、相互信頼が生まれ、ほんもののチームワークになってゆくことです。終了後は「気づきの促進」「主体的に動くこと」「信頼関係の深まり」の体験ができたとの感想でした。

 11月のことば 「欠けているから、完全になる。古いから新しくなる。少なければ得られ、多ければ失う。(老子:自然の法則)」
目先の現象にとらわれず、逆な考え方や行動によって目的を達成しようとする試みの一つに「逆説的心理技法」があります。かつて、私はタバコをやめようとすればするほど吸いたくなりました。しかし、逆に臭いをかいだだけでも気持ちが悪くなるくらい徹底的に吸いまくりました。今では34年間、禁煙継続中です。また、こじれた人間関係の心理相談が多くあります。関係修復を何とかしようとすればするほど益々こじれてしまいます。思い切って、つっぱなして適切に間を置くことを助言します。その方が良い結果につながることが多いようです。同様に、企業経営においても「好事、魔多し」の言葉のように、順調な時ほど思わぬトラブルにみまわれます。油断することなく気を引き締めることが肝要です。一方、逆境の時は多くの学びと気づきがあります。「老子思想」の逆説的思考は私の人生を豊かにしています。

 10月のことば 「子生れて母危(あや)うく『子どもが生れるとき母親の命は危うい時でもある』」
喜びと悲しみ、幸せと不幸は表裏一体であると洪自誠著(明の時代)、菜根譚(さいこんたん)の一節は多面思考の大切さを示唆しています。「今日はおめでとう!そして、命をかけて生んでくれたママへの感謝の日でもあるんだよ」と三人の孫たちの誕生日会で私は伝えてきました。その意図は思春期(反抗期)にこじれた親子関係になっても修復が出来るとの確信のもとで実践してきました。家庭は社会の最小単位、「教育の原点は家庭」にあります。発達心理学では幼少期の適切なシーディング(種まき)の重要性を強調しています。一方、私の入院中一日も欠かさず見舞いに来てくれた長男はある時「父さん、移植した腎臓だけスポットライトを当てるだけでなく、63年間良く働き尽くしてくれた自分の腎臓さんにも感謝しなければいけないよ」。"老いては子に教えられ"を痛切に感じました。

 9月のことば 「大病・投獄・浪人こそが成功の条件(電力王・松永安左衛門翁)」
これらの三つの表現は極端であるが共通する真の意味は自分自身と相向き合い、ゆっくり考えを巡らせるいい機会であると思われます。私にとってもその中の一つ「大病」のみが大いなる経験となりました。食事療法を中心にあらゆる方法で心身の安定に努め、腎不全の保存期間を10年間保つことができたこの経験は、特に三つの事に気づかされました。ひとつめは、辛い時こそ見えてくる「人間関係の不思議さや人の親切さ」です。二つ目は、66日の入院で「考えや視野が広がった」気がします。名大病院のチーム医療は、企業・業種・職種のポジション(立場)を考えることでリーダシップの大切さを再認識しました。三つ目は「特殊な状況に置かれてもある程度、落ち着いて、平常心」を保てたことです。入院中も「筋弛緩法・長息呼吸法・自律神経調整法」を実践したお陰だと思います。

 8月のことば 「職場や医療現場の安心・安全はコミュニケーション技術の向上に比例する」
この度、腎移植入院66日の経験は多くのことを学びました。患者の心構えとして、第一に種々の検査データを時系列に理解することの重要さ。集中治療室でも検査データをもらい検討していました。第二は医師や薬剤師に疑問を問いかけ続けることの積極性です。チーム医療に自らが積極参加する「自分の主治医は自分自身が主治医であれ」ということなのです。三つめは看護師さんには笑顔で名前を呼び信頼関係を築きました。新人の看護師さんには進んで採血の練習台にもなり、ささやかな恩返しを心がけました。上手に採血できない人には「最初は誰もが新人だったのですよ」と励ますと次第に上手になっていきました。一方、名大病院の方針は検査の度ごとに名前確認の徹底や患者への説明に力を入れるなど「コミュニケーションの改善は、医療安全につながる」の推進にはとても感銘を受けました」。

 7月のことば 「命の贈りもの〜人は多くの人のお陰で生かされている」
かつて、私は主治医に「1年後、血液透析は覚悟してください」と言われたのです。それから並行して、食事療法を日本の第一人者である昭和大学病院(神奈川)の教授の下で学びました。その医師は「食事療法の主治医は患者自身ですよ」と言われたことで本気に取り組むことができました。お陰様で腎機能の保存を10年間維持できたのです。今回、これ以上の限界を理解してくれた姉から命の贈りものをいただいたのです。名大病院、入院66日の経験は執刀医をはじめ多くの医療スタッフの方々のチーム医療の進歩は驚くべきものでした。神(自然)からいただいたものを人(医師)の手で腎移植するのですから不思議というほかはありません。この経験は「自分は多くの人のお陰で生かされている」と「無条件の愛」を真に実感したものです。

 4月のことば 「優れたリーダーは不思議なほど聴き上手、リーダーの第一条件は傾聴にあり」
4月は新入社員の新たなスタートの季節です。馴れない社会人として期待と不安の心理状態でもあります。そのためにはリーダーは居場所と話しやすい雰囲気づくりに心掛けることが大切です。話しやすい雰囲気づくりには、タイミングの良い相槌や「なるほど」「それからどうなったの」「それは面白いね」といった合いの手も有効です。また、さりげなく、相手の最後のことばを繰り返すことにより、次の話の誘い水にするというやり方もあります。「そこで壁にぶつかったんですよ」と言って話が途切れたら「そうか、壁にぶつかったのか」と反復するのです。すると相手は次のことばが出やすくなるのです。この様にコミュニケーション心理学の教えは信頼関係の促進にとても有効です。

 3月のことば 「人々は、自分の心の中の地図に基づいて行動を起こす。(コージブスキー)」
産業カウンセラーとして、顧問先の従業員の相談を受ける機会が多くあります。その主な内容は「仕事で同じ失敗を繰り返し落ち込んでしまう。また、人間関係では、同じようなトラブルを引き起こしてしまう」など。まさに、「分かっちゃいるけど止められない」の人生パターンの心理相談です。私たちの「思考や感情、行動」という「三つの要素」は、その人なりの統合された「心の地図」としてプログラムされているのです。そこに問題解決のヒントがあります。「自分はマイナスの面を過大に考えがちである」という「思考の癖」。また、「相手の否定的な言葉に即、反応して不安や怒りを感じる」などの「感情の癖」。さらには、「どうも自分はひとりよがりの行動をする」という「行動の癖」。これらは「心の地図」を書き換える再プログラミングすることで生きづらさを克服することができるのです。

 2月のことば 「人間は最後に耳に入った言葉を溜め込む生き物だ」
お店に入り、欲しい物がなく帰ろうとした時、不愛想にされる場合と「有り難うございました。またのお越しをお待ちしております」と笑顔で送られる場合では余韻の大きな違いを経験するものです。また、職場の上司が帰り際に「君はよく頑張っているけど、報告が遅い」。「君は報告が遅いけど、よく頑張っているね」と声掛けの場合、言葉の順序を逆にしただけで、印象がずいぶん違って聞こえるはずです。前者はマイナスの感情で別れますが、後者はプラスの感情で別れます。後者であれば「次からは報告を早く上げよう」という気にもなるでしょう。この様に最後の言葉をプラスで表現することが良好な人間関係の秘訣だとコミュニケーション心理学では教えています。

 2015年 1月のことば 「ほめ言葉には『自己確認のほめ言葉』と、信頼関係を高める『自己拡大のほめ言葉』あり」
前者は、自分でも分かっていることであり、後者は、自分の気付かない所をほめられる意外性のある言葉です。「自己拡大のほめ言葉」の最高の事例を紹介しましょう。中国の漢の時代、高祖、劉邦(りゅうほう)が名将韓信に「おれとお前と、どちらが兵の扱いが上手であろう」。「それは、私の方が上手でしょう。私は百万の大軍でも動かせますが、陛下は、せいぜい十万が限度でしょう。兵に将たる器は、私の方が上ですが、陛下には、将に将たる器がおありになります。これは、生まれつき備わったもので、いかんともしがたいものでございます」。人間関係において、「自己拡大のほめ言葉」のフレーズをさりげなく伝えることが、ラポール(信頼関係)の構築には効果的です。

 12月のことば 「終日、考えていることがその人自身だ(口グセが運命を創る)」
米国の哲学者、ラルフ・ワルド・エマーソンの教えです。知人の若き経営者に事業家になる思いは何時からですか?とインタビューしたことがあります。彼は「6歳ごろから単に、金持ちになりたいと思いはじめ、高校生で戦国策を始め、中国の古典を読みあさり、将来自分が経営者としてのイメージトレーニングをしていた。そして、自分は必ずできると信じて疑はなかった」と語ってくれました。人生の成功者の多くは、自分へのささやきかけが肯定的なことを言う「ポディティブ・セルフトーク」が特徴だと思われます。言葉グセと言う強力な自己暗示が習慣となり、やがて目標達成への道が開かれていきます。このように人は誰でも「口グセどおりの人生」を歩むことを再認識しました。

 11月のことば 「人間関係をこじらす主な要因のひとつに “他人の目を意識しすぎる”自意識過剰が考えられます」
さらに高じると心理学でいう関係妄想に発展します。他人のなにげない言葉やしぐさに、特別な意味を見つけて結び付けるのです。自意識過剰の人にはこの傾向がよく見られます。体臭恐怖で悩んでいたOLは、男性がPC操作でうまくいかない時「クソ!」と言ったことが彼女には「くさい!」と聞こえていました。また、相手が話すときに口や鼻に手をやると「くさい」メッセージと受けとります。その為に職を転々としていました。また、ケンカの絶えないカップルでは、ドライブ中「降ろしたろか!」の言葉に彼女は「殺したろか!」に聞こえて、長い間誤解が解けなかったと彼は述懐していました。この様な相談者に必要なことは"軽いストレッチングやリラクセーションで血液循環を良好にし、気分を和らげた後ユーモア療法による「認知の修正」"が効果的です。

 10月のことば 「晴れてよし 曇ってもよし 富士の山、もとの姿は 変らざりけり」
江戸無血開城の立役者のひとりで、剣禅一如の人でもあった山岡鉄舟のことばです。富士山はいつも変わらないのに見る人の心のあり様でお山の評価を変えてしまう。周囲の状況に一喜一憂することを戒め真実に心を向けることと、平常心の大切さを求めた教えです。また、「我(われ)が怪しい」状態を「怪我」と書きますが、まさに平常心を欠き注意散漫な時、誰もが怪我や失敗をする可能性があります。一方、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」のたとえの様に不安定な怪しい精神状態では、不安症状(枯草)が最悪な状態(幽霊)に思えて、心が怪我をして悶々としてしまうことがあります。
当センターでは平常心を養成する、「筋弛緩法・長息呼吸法・自律訓練法」の身心リラックス訓練と認知の修正法にも力を入れています。

 9月のことば 「コミュニケーションでは、伝え手が何を意図したかではなく、受け手がどのように受け止めたかが大切です」
職場のコミュニケーショントラブルの解決には、夫婦の人間関係の解決がヒントになります。「夫婦間でどうもギクシャクしているんですが」との相談。奥さんの言い分は、「主人が自分の気持ちをちっとも分かってくれない」。ご主人の言い分は、「いつもちゃんと話を聞いているじゃないか」。そこで私は、提案しました。まず、奥様に話して頂きます。その後、ご主人に、相手の言い分をしっかり反復する練習をして頂きました。「お前の言っていることは、こうこうこう言うことなんだね?」。その結果、ご夫婦の仲が良くなり、トラブルも起きなくなりました。会社の課長であったご主人は早速、部下に「君の言っていることは、これこれこう言うことだね?」。「君の言い分はしっかり受け止めているよ」とのメッセージの交流は、部下に安心とやる気を増幅させます。

 8月のことば 「対話は体話なり、コミュニケーション能力は人生の質を高める」
鎌田勝先生(総合経営教育研究所)の教えです。人間は集団本能によって群れをなし、やがてグループを作ります。これを組織と言いますが組織を裏返すとコミュニケーションとなり、組織の活性化はコミュニケーションの活性化ということなのです。筆者は産業カウンセラーとして「職場の人間関係を円滑にする技法」のテーマで企業の教育研修の機会が多くあります。研修時間をたっぷりとかけることでお互いが理解し合い、驚くほどチームワークが良くなります。コミュニケーションの活性化とは、要するにじっくりと話し込むことなのです。その結果、風通しの良い職場風土の形成がなされて、うつ状態の人や心身症の方々の回復がみられたとの報告が多くあります。心の健康は「対話は体話なり」の心の触れ合いの重要性を強く感じています。

 7月のことば 「人間の心の欲求で一番強いのは、自分の存在や価値を認められたいという承認の欲求である」
米国の心理学者、ウイリアム・ジェームズの教えです。家庭、学校、職場において、「自分が承認されていないと感じている」ことで様々な事件が起きています。かつて、小学校の教頭先生から学級崩壊のことでPTAの講演依頼がありました。テーマは「愛情は技術だ!(子どもの心を開く人間関係の築き方)」でした。翌朝から教頭先生は校門の前に立たれ、登校児童の一人ひとりに「握手しながら目線を合わせ『お早うございます』」を実践されました。また、職員会議でのルールでは問題とされている児童の褒め探しの後、課題に入ることを提案しました。すると先生方が児童の肯定的側面に気づかれ、児童との良循環が形成されたのです。「プラスの面で分かり合うとパワーになる」の実践報告に感動しました。

 6月のことば 「リフレーミング(再枠組み)とは、これまでの物事の見方、考え方の枠組み(フレーム)をもっと柔軟に、創造的なものに変えようとする心理技法」
家族療法の中心技法です。かつて私は職人気質の厳しい心理療法家に弟子入りしていました。初めの頃は度重なる失敗で叱られすっかり自信喪失に陥ってしまったのです。先輩から「竹内さん、師匠は貴方の勤勉さを認めています。そして、将来幹部候補として育てようとしているから厳しくしているのですよ」と言ってくれた一言(リフレーミング)が私の気分を一変させたのです。また、“厳しい師匠に辛抱できたらどこでも通用できる人間になれる”とポジティブに捉えることができ、厳しさは将来のための勉強だと受け止められるようにもなりました。リフレーミング技法は、今でもカウンセリング場面で大いに活用し、人生を豊かなものにしてくれています。

 5月のことば 「家庭、学校、職場の良きリーダーの第一条件は『話す技能』よりも
                        『信頼関係を創る技能』がはるかに重要だ」
ある人が言うことは素直に聞くことができるのに、別の人が言うことは同じ内容であっても聞きたくないということをよく耳にします。すなわち、人は「何を」言われるかよりも、「誰から」言われるかが重要なのです。「中学生の息子が人の物を盗むようになり、困っています」とのご両親の相談。詳しく傾聴した後、「お子さんの良い点を5つ教えて頂けませんか?」10個の良い点を挙げられました。「家庭でもお子さんに良い点を指摘して下さい。ただし、馴染むまで徹底的に実践して下さい」。かつては激高していた、お父さんとの信頼関係が良好になり問題解決に至りました。行動心理学では親子の信頼関係の再構築に限らず、どの分野でも肯定的な側面に働きかけることは効果的だと教えています。

 4月のことば 「自然に適(かな)った生活をすれば人は何ものをも所有しなくとも
                                   許されて生かされる」
一燈園の創始者であり、「懺悔(ざんげ)の生活」の著者、西田天香さんの教えです。「智徳研修会」では、京都の街を一軒一軒訪ねてトイレ掃除をする行乞(ぎょうこつ)の修行があります。入りやすいとか、入りにくい家とか“選ぶ”姿勢を捨てなければならないのです。最初の頃は断られるとホッとしていたが度重なると焦り、心の中で「恐怖突入」「勇気ある行動」と呪文の様につぶやき10件めでやっと受け入れて頂きました。この体験から「捨てなければ得られない」を実感しました。また、自然と一体化した礼堂での瞑想は自然との調和を体感しました。これからも「自然法則に適った生活リズム」をカウンセリング哲学として実践していきたいと思います。

 3月のことば 「自動思考とは、本人の意思とは関係なく否定的な考えが
                              自然に浮かぶこと(認知療法)」
近年、当センターにうつ状態の来談者が多くなっています。これらの方々は「私はダメな人間だ」「あの時の失敗は致命的だ」「私は生きている価値がない」等々の「否定的思考(クセ)」がエンドレスなのが特徴です。また、ある研究では「人は一日に六万個の物事を考えていて、その95パーセントは前日も前々日も考えていたことで、その習慣的な考えの約80パーセントがネガティブなものだというのです。まさにiPodで同じ曲を連続再生するようなものなのです(引用:脳にいいことだけをやりなさい)」。この様に、脳科学の研究でも油断すると誰もがうつ状態に陥ることを示唆しています。当センターでは否定的自動思考(クセ)を肯定的な手動思考(意識的)に切り替える「認知の歪みを修正」する認知行動療法で解決を促進しています。

 2月のことば 「あなたはこれまでの人生で、運が良いほうでしたか?」
松下幸之助氏はこのフレーズを入社面接の最後に必ず質問して、採用条件にしたそうです。「松下政経塾」、入塾審査を担当された高橋史朗教授(明星大学)にお聞きしたことがあります。様々な分野の運の強いビジネスマンと接して感じる最大の共通点は「自分を大切」にしていると思われます。「一番難しいのは、自分を尊敬することです。運が良い人は自分を心から好きになれた人だとも言えます」。自分を大切にしている人は、周りも丁寧に接してくれるのです。私は幼い頃、母から運のいい人は「有り難うございます、感謝しております、お陰様での言葉グセがあるよ」と教わりました。一方、脳科学では「運がいい」と思うよりも、実際「運がいい」と口にしたほうが、多くの感覚器官が働き、記憶が定着し強化されるとも教えています。

 2014年 1月のことば 「他人(ひと)に聴くより良い知恵はない」
鎌田勝先生(総合経営教育研究所)の信条です。四十歳の時、師との出会いは、まさに「眼から鱗(うろこ)が落ちる」の衝撃を受けたのを記憶しています。師は知識の広さ,深さはもちろんのこと経営コンサルタントとして「問題解決は現場にあり」、現場の人に良く聴くことを徹底しておられました。また、「心理カウンセラーである前に人間として真の謙虚さが大切です」の示唆と「自分の無知を自覚した時から人は伸びる」の教えは終生、忘れることができません。師の人生哲学は「相手に熱烈に協力してもらおうと思ったら、相手の話を熱烈に聴きなさい」デール・カーネギーの教えにも相通じるようにも思えます。

 12月のことば 「ことばグセが自分の人生を決定し、幸せを創る」
「どんな大きな会社も潰れ、不動産は不動でなく、お金は紙くずになってしまうが“頭の中の知識や経験という財産は無くなることも、奪われることもない”」と言うのが父親の口グセでした。世の中が一変した、終戦と農地改革の体験からだと思います。人々がこれだけはと頼りにしている会社、家、お金の三つは意外と頼りなく、はかないものだと悟り、身体が丈夫で頭がボケなければ、努力次第で暮らしが良くなることは可能だとも言いたかったのです。私が30歳の時、ある研修で「長男からの弔辞」の想定で自らが書いた内容を読み返したら「父は終生、頭の中の財産を増やし続ける…」。まさに父親からの洗脳は62歳の今も継続中には苦笑しました。これからも積極的な明るい言葉をつぶやき続けたいと思います。

 11月のことば 「かたよらない心、こだわらない心、とらわれない心、
                      広く、広く、もっと広く(般若心経、空の心なり)」
今は亡き、高田好胤管長(薬師寺)の説法を若い頃お聴きしたことがあります。子どもの頃から慣れ親しんだ不思議なお経がその時、妙に得心したのを思い出されます。しかし、62歳になった今でも「かたより、こだわり、とらわれている心」にハッとさせられることばかりで「思考修正」の連続です。また、師は「結局のところ悟るとは決心することだよ」とも説法されていました。その教えだけは「覚悟して思ったら行う」の座右の銘と共に生涯に亘って実践してきました。心理学者、アルフレッド・アドラーは「性格は死ぬ三日くらいまでは変わる」との言葉を残しました。この教えを信じつつ日々、自己更新を継続したいと思います。

 10月のことば 「人は十人から褒められるよりも一人から批判されたことを強く記憶する」
同様に「十の楽しい経験よりも一つのイヤな経験が強く心にとどまる」。心理学ではネガティブ・バイアス(否定的偏向)と呼ばれています。このマイナス思考回路による不快指数は時間と共に増幅します。あるピアノ教師はお母さん方の集まりには何時も嫌な思いをするので帰宅後には即、「大好きなアップテンポの曲を聴く」ことで切り替えました。また、週末の退社時になると決まって仕事の小言を言う上司の下で憂うつになっていた会社員は「金曜日の夜はジムでたっぷりと汗をかく」ことで土、日を快適に過ごせるようになりました。本質の改善と同時に、自分に合った聴覚・視覚・触覚を組み合わせた意図的な「プラスの上書き」を提案しています。すなわち、人生の幸福度は「プラスの上書き技術力」と正比例すると思われます。

 9月のことば 「セレンディピティ (思いがけず良いことに出会ってしまう能力) ・
         ホスピタリティ (心からのおもてなし) ・最新技術に裏打ちされた職人技の追求」
「四次元ピンポイント放射線治療」で有名なUASオンコロジーセンター(植松稔医学博士)の理念です。知人の娘さんは七ヶ所目で植松医師と出会い、セカンドオピニオンで安心・安全を得た後、切らずに治すピンポイント放射線治療を受けました。その後、娘さんから「PET検診結果はがんの消滅と転移はありませんでした」との報告。サポートし続けたお父さんからは「露天風呂、流れる雲に、手を合わせ、娘生還、桜島山」のメールも頂きました。「これからも食事療法、心身リラックス訓練法によるイメージ療法、プラス思考と感謝の気持ちを継続しながら生活します」との金メダルに匹敵する力強い言葉に感銘を受けました。

 8月のことば 「百聞は一見に如(し)かず。百見は一体験にしかず」
『深みにはまり溺れかけている塾生(小学生)を助け上げた引率者に周りが拍手を送っていた。そこへ駆け付けた塾長は「何を拍手してるんだ!」。「このままでは一生水恐怖症になるぞ!」と恐がっている子を説得した。そして、塾長自らが溺れかけた子どもを深い所で抱きかかえ、「大きく空気を吸い込んで、その調子、ほーら体が浮いてきた」と話しかけながら支えている指を1本1本離して行くと、最後にはその子は水に浮いた。「20分くらいかけて何度も体験させて克服させたのです」』と知人の息子さんは25年前の衝撃的な合宿の出来事を話してくれました。この事から「体験から学び、やがて経験として活かす教育を大切にする様になりました」と語ってくれた若き経営者と行動療法の神髄を実施された塾長に感銘を受けました。

 7月のことば 「『分かっちゃいるけどやめられない』
                      植木等氏のスーダラ節(1961年、80万枚のヒット曲)」
『子どもから大人までの誰もが経験する人間心理のフレーズです』。また、「眠ろうとすればするほど目が冴えてしまう」「人前で緊張しないで話そうとすればするほど緊張してしまう」。「危ないから、転ぶんじゃないよ!」と言われて転ぶ子どもたち。心理学では「努力逆転の心理法則」と言います。間違った否定的な側面を意識させる努力が悪化を招くことになります。人前で話す場面では、「緊張するな!」ではなく、「背筋を伸ばし、足の親指に力を入れ、にっこりと会釈をし、堂々と話をしている私」を肯定的にイメージすることが大切です。「遅刻しないようにしよう!」ではなく「10分前に着いていよう!」と肯定的な自己暗示が行動修正の秘訣なのです。

 6月のことば 「生命活動の源、息に気づきなさい。そして、呼吸を大切にして楽しみなさい」
お釈迦様の呼吸法(大安般守意経)の教えです。筆者(竹内)の趣味の一つに「呼吸法」があります。息との不思議な出合いは6歳の時、竹やぶで笹笛を作り夢中に吹いていたら意識を失い気が付いたら大きなタンコブをつくっていました。その時すでに過呼吸の体験をしたのです。それ以来、息に魅せられ様々な呼吸法を体験し続けています。今では日本の心理療法の父と言われている白隠禅師の流れをくむ禅寺で坐禅をするのが楽しみの一つになりました。吐く息は副交感神経(リラックス)を促進し、吸う息は交感神経(緊張)を高めます。集中力、自律神経失調の克服や不安・緊張の解放も呼吸のコントロールが秘訣なのです。また「長い息」は「長生き」にも通じます。

 5月のことば 「『呼吸』を変えれば心が変わる。『息』は心の状態を映す鏡である」
すなわち、「息」は「自」らの「心」と書きます。また、人の関係がうまくいっている状態を「息が合う」とか、「息が通う」と言います。『あるクライエントは厳しい上司に仕事の報告をするたびに「息が詰まるような圧迫を感じ息苦しくなり、うつ状態」が長年続いていました。想起イメージ法による上司との対人場面を再現することで「浅い呼吸や息を止めている」ことに気づかれた。その後「筋弛緩法」「完全呼吸法」の習得でうつ状態が解消された。今では上司の「呼吸」にペースを合わせ、スムーズに報告もできるようになりました』。このように、自己コントロールの秘訣は「呼吸の調整」にあったのです。

 4月のことば 「人は、人生が公平でないことを悟れるくらいに成長しなくてはならない。
                      そして、自分が置かれた状況の中で最善をつくすべきだ」
車椅子の宇宙物理学者ホーキング博士の言葉は、しみじみと人生をふり返り、還暦を過ぎた私にとって腑に落ちるフレーズです。『あるクライエントは、仕事や結婚生活のトラブル等でうつ病を発症しました。彼は子供の時から不遇な家庭環境で育ったことなど何時も不公平さを感じていました。カウンセリング面接を経て職場復帰した彼は「過去と他人は変えることはできません。これから自分の体調を最優先に、与えられた職場で最善をつくす様にしています」「うつ症状は心身の状態を気づかせるアラーム(警報)システムです。これからも上手に付き合っていきます」』と語ってくれました。

 3月のことば 「『希望』は最大の武器である(スティーブン・スピルバーグ監督)」
「どんなにつらい試練に直面した時でも、決して希望を捨ててはいけない」。かつて、『戦火の馬』のPRでインタービューに応じ、3.11の震災を経た日本へのエールでした。知人の娘さんは「がん」との戦いを決してあきらめることなく、七ヶ所目の病院で「切らずに治す放射線治療医」に出会い、遠い鹿児島の地で治療に専念しています。日本では、いまや2人に1人が、がんになり、3人に1人が、がんで亡くなる時代です。「がん難民」という切ない言葉が生まれて久しいこの国において他人事だと思っていた彼女は当事者になり、医師の心ない数々の言葉に傷つきながらもめげることなく、「『希望』を持ち続けて良かった。がんになって家族、知人のサポートに心から感謝できた」と述懐しています。

 2月のことば 「念願は人格を決定する 継続は力なり」
「一道において生涯、念願を継続する事、それが人間形成だ」。住岡夜晃の著書『賛嘆の詩、若人よ一道にあれ(上巻)』の一節です。また、最初の師、守部昭夫氏は「竹内さん、人生は『ウン(運)・ドン(鈍)・コン(根)』だよ」が口ぐせでした。“運は人が運んで来るので積極的であれ、つまらないことには鈍感に、一つの道を根気よく継続すると必ず成功する”の教えです。今月で創立31周年、この道40年で実感することは「継続は不思議な出会いなり」ということです。 筆者は幼少から思春期にかけて極度の不安症で神経症の問屋だったのが自己回復できたのは多くの出会いからなのです。これからもセレンディピティ(=思いがけず良いことに出会ってしまう能力)を信じて残りの人生を楽しみたいと思います。

 1月のことば 「教育の道は、家庭の教えで芽を出し、
               学校の教えで花が咲き、世間の教えで実が成る」
埼玉県の幡羅高等小学校が明治31年、保護者に配布した『家庭心得』です。すなわち、子育ては「家庭、学校、地域社会の三位一体」の考えはいつの世も変わらない本質なのです。筆者の尊敬する友人は「一つは、おはよう、いただきます、さようならの挨拶を大きな声で言う。二つ目は、靴やスリッパなど履物を揃える。三つ目は、遊んだ時のおもちゃを片付ける」ことを入学前に躾けられたと回想していました。まさに身が美しい(=躾)彼の立ち振る舞いは大人に成っても基本がぶれず何時も感心させられます。「三つ子の魂百までも」「鉄は熱いうちに打て」の教えを再認識したいと思います。






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